相模原や町田で整体なら古淵かえる整体院
自律神経

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自律神経の新理論!ポリヴェーガル理論で、簡単セルフケア!

うちの娘が、長い間、頭痛が治らなかったり、なかなか朝も起きれなくて、疲れが取れないみたいで。心療内科にも通ってるんだけど、いつもぐったりしててかわいそうで。どうしたら良いのか。。。

院長
院長

それは辛いですね。。。こんな症状ありませんか?

 急に汗が噴き出る
 急に血圧が上がる
 胃もたれする
 頭痛が治らない
 むくみやすい
 のどの異物感
 手先や下半身の冷え
 トイレが近い
 なんとなく気持ち悪い
 突然の動悸
 耳鳴りがする、難聴である
 めまいがする
 便秘や下痢に悩まされる
 口や目が乾く
 イライラすることが増えた
 自己嫌悪に陥る
 心拍数が多い
 仕事に行くのが辛い
 気が付くと何かを食べている
 好奇心が持てなくなった
 急に不安になって、涙が出る
 記憶力が低下してきた
 寝つきが悪い
 朝すっきり起きられない
 睡魔がひどい
 いびきが酷くなった
 夜中に何度も目覚める
 最近涙もろくなった
 気分に波がある

ここに挙げた症状は、自律神経の乱れで起こりやすい症状の一部です。いくつか当てはまるようでしたら、自律神経に何か問題を抱えているのかも知れません。

自律神経の乱れによる不調を改善するには、自分の症状の特徴を知ることも大切です。それが治癒の第一歩になります。

ただし、改善するには、それなりに時間が掛かります。すぐに良くなることはありません。それこそ半年から年単位です。

改善にはいくつかのステップがあります。

STEP1 自分を知る
STEP2 規則正しい生活を取り戻す(7時に起きる、昼間は起きている、22時に寝るなど)
STEP3 筋力をつける
STEP4 からだの動きのバリエーションを増やす
STEP5 コミュニケーションにかかわるトレーニングに取り組む

少し大変かもしれませんが、自分のことを人にまかせっきりにするのではなく、自分で改善する努力をしましょう。

このページの内容が、自律神経の乱れによる症状で悩む皆さんにとって、お役に立てればと思います。

この記事を書いた人
からだケアルーム クオリア 院長 阿部 隆行
古淵かえる整体院 院長 阿部 隆行

国際公認フェルデンクライスメソッド・プラクティショナー/MCC横浜認定メディカルカイロプラクター/リンパドレナージュ講師
相模原市南区古淵で整体院「古淵かえる整体院」(旧:からだケアルーム クオリア)経営。2008年の開院以来、約20,000人の施術実績。週刊誌の健康記事掲載実績。施術歴15年以上。

自律神経のバランスが乱れる原因

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自律神経の乱れから来る症状は、実に多岐に渡ります。

いくつもの症状を訴える方が多いのですが、交感神経が緊張して起こる症状ばかりであったり、副交感神経が緊張して起こる症状ばかりであったり、多くの場合、どちらか一方の症状を訴えます。

自律神経の働きを見ていく前に、まずは、自律神経が乱れる原因を見ていきましょう。

自律神経が乱れる主な原因

 元々ストレスに弱い体質や性格的なもの(悲観的・ネガティブ)
 過度のストレス(肉体・精神)
 生活習慣の乱れ(夜更かしなど)
 ケータイやPCの画面の見過ぎ
 姿勢不良、猫背
 環境の変化への適応(気温差、家庭や職場環境の変化など)
 女性ホルモン

これらの原因の中で、自分で改善できそうなのは、生活習慣ケータイなどの過度の依存などでしょう。
特に深夜、電気を暗くして、モニター画面を見ているような方は、自律神経が乱れやすいです。

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また、自律神経が乱れてる方は、例外なく、姿勢が悪くなっています。

交感神経節は背骨に添うように存在しており、自律神経とも深い関係があるのです。

姿勢を改善することが、自律神経を整えることにもつながるのです。

自律神経の働きを知れば、症状が見えてくる

ここからは、自律神経の働きについて見ていきましょう。自律神経には大きく分けて「交感神経」と「副交感神経」があります。この働きを理解できると、自分の症状がどちらの神経に由来しているのかがわかるかも知れません。

「自律神経」とは、自分の意思とは関係なく絶えず働いている神経です。寝ている間もあなたは呼吸をし、心臓が動いています。貴方の意思とは関係なく、貴方は生かされた存在なのです。

自分の身体の内外の環境の変化を見張りながら、環境の変化に合わせて、時には闘い、時には逃げたり、身体をコントロールしているのが、「自律神経」です。

2つの自律神経「交感神経」と「副交感神経」

自律神経の不調に苦しんでいる方は、抱えている症状によって、交感神経優位型か、副交感神経優位型のどちらかに分類されます。

交感神経が緊張している人の特徴

 なかなか緊張が抜けない(力の抜き方が分からない)
 他の人に比べ、汗の量が多い
 手先・足先が冷たい
 便秘がち
 光がまぶしく感じる などがあります。

交感神経、わかりやすく解説!(開きます)
交感神経は敵と戦うか、逃げるか!
1:目の前に怖い人がいます
2:いきなり襲ってくるかも知れませんので、その人をよく観察しなければなりません「瞳孔が開きます」
3:呼吸が乱れてきます「気管支が開いて、空気(酸素)を多く取り込みます」
4:全身に酸素を届けます「心臓がドキドキしてきます」
5:全力で戦うか、全力で逃げるか、身体が準備をします「酸素が筋肉に送られ、筋肉がスタンバイします」
6:手先足先が冷たくなります「末梢血管の収縮」
7:トイレに行ってたらやられます「排泄を我慢できます」
8:緊張しすぎて、気持ち悪くなってきました「内臓が働きません」
9:手汗をかいてしまいました
副交感神経が緊張している人の特徴

 寝る間際に、咳が止まらなくなる(喘息の方など)
 やる気が起こらない
 おなかを下しやすい
 常にねむい
 手足があたたかい などがあります。

副交感神経、わかりやすく解説!(開きます)
副交感神経は食事モード!
1:食事を目の前にして、幸せいっぱい
2:幸せなので、眼がとろーんとします「瞳孔は締まります」
3:身体もリラックス、呼吸も穏やかになります「気管支が狭くなります」
4:食事を邪魔する人はいません「心臓も穏やかになります」
5:食べたものを消化します「内臓が活発になり、消化・吸収を促します」
6:リラックス効果が高まり、手足がぽかぽかしてきました「末梢の血管の拡張」
7:敵がいません。トイレに行っても大丈夫「排泄」
8:おなかいっぱいで眠くなってきました「寝る子は育つ」

図にまとめると、こんな感じになります。

交感神経 副交感神経
闘争/逃走
(アクセル・緊張)
反応のパターン リラックス
(ブレーキ・弛緩)
脊髄神経 主な自律神経 迷走神経
脊柱 主な部位 頭蓋骨・仙骨
アドレナリン・ノルアドレナリン 神経伝達物質 アセチルコリン
心臓が早くなる 心臓 心臓が遅くなる
心拍数・血圧↑ 心拍数・血圧 心拍数・血圧↓
末梢血管の収縮
(指先の冷え)
末梢血管 末梢血管の拡張
筋肉が活発になる
(敵への攻撃)
活動部位 内臓の動きが活発になる
(消化・吸収など)
瞳孔が開く
(光に過敏になる)
瞳孔 瞳孔が閉じる
気管支が開く 気管支 気管支が狭まる(喘息など)
排泄を我慢 排泄行動 排泄したくなる
汗腺が開く
高気圧(晴・冬) 気圧との関係 低気圧(雨・梅雨・夏)
顆粒球↑ 免疫との関係 リンパ球↑
炎症↑ 疾患の傾向 アレルギー疾患↑

※ 気圧との関係、免疫との関係、疾患の傾向は、新潟大学名誉教授だった故・安保徹氏による理論です。

1.心拍数・血圧と自律神経の関係

自分が「安全である」と感じていない場合は、交感神経が緊張し、心臓がドキドキしてきます。ストレスと戦うような身体の緊急事態には、戦うために脳や全身の筋肉に酸素や栄養を届ける必要があります。心臓が活発になって、心拍数が上がるので、血圧も上がってきます。生き残るために必要な反応なのです。

逆に「安全である」と感じている場合は、副交感神経が緊張し、心臓も落ち着き、血圧も下がってきます。

2.末梢の冷えと自律神経の関係

自分が「安全である」と感じていない時の身体は、手先や足先の末梢の血管を収縮させます。ということは、指先への血流が少なくなり、冷えやすくなります。指に輪ゴムをきつく巻き付けて圧を加えるように、末梢の血管が締まります。交感神経系は、緊急事態に備えるため、最も大切な脳や筋肉に血流を促す必要があるのです。

逆にリラックスしている、副交感神経が優位になっている時は、末梢血管を締め付けて血圧を上げる必要がなくなりますので、手先や足先に血液が促され、温かくなります。手や足が温かくなると、眠気を感じているとか聞いたことありませんか?それは、こんな理由からなのです。

3.消費エネルギーと自律神経の関係

自分に降りかかった緊急事態には、外敵と戦ったり、逃げたりする必要があります。地震が起これば、逃げる必要があるでしょう。交感神経系の働きにより、全身の筋肉が活発になります。全力で生命の危機から脱しなければなりません。

安全な状態であれば、筋肉をこわばらせておく必要もありません。エネルギーを充電する時間です。そうです、食事をとりましょう。副交感神経系により、胃や腸、すい臓など消化器系が活発になります。

4.目の疲れと自律神経の関係

目の前に外敵がいたとします。こういう緊急事態の時は、外敵の姿が目で捉えられないと、やられてしまうリスクが増えます。ですので、「闘争/逃走」モードにスイッチを入れる交感神経系が緊張すると、瞳孔を開けることで、敵の姿を捉えようとします。ただ、瞳孔が開いているということは、その分、目から光の刺激が入ってきますので、目が疲れやすくなります。

逆に外敵もいない安心な状態では、副交感神経系の働きにより、瞳孔は収縮するのです。

自分の好きな人が目の前にいた場合は?
この場合も瞳孔は開きます。好きな人の姿は目で追いたくなります!さらに、好きな人を目の前にすると、ドキドキします!その人の空気を吸いたくなります!(笑)これらは交感神経系の働きです!
【Q&A】「好きな人を見ると逆に癒されるのでは?」という質問を受けましたが、それは安全な場所から見ている場合ではないかと思います。(笑)

5.寝る前の息の苦しさと自律神経の関係

寝しなに咳が酷くなった経験はありませんか?

身体を休める時は、基本的に身体が酸素を必要としません。副交感神経系が緊張することにより、気管支が狭くなります。すると、息が苦しくなり、咳が出始めます。特に喘息を持っている方は、寝る前は一番辛いかも知れません。

身体を休ませる必要はあるのに、咳が止まらなくなる。喘息の悩ましいところですね。

喘息になぜステロイド剤が処方されるのか?
副腎皮質ホルモン剤であるステロイド剤。副腎皮質ホルモンは、交感神経系を緊張させて、気管支を拡張させる働きがあるのです。あまりストロイドに頼りすぎると、自分で副腎皮質ホルモンを生成できなくなり、疲れやすい身体(戦えない身体)になるので、注意しましょう。

逆に緊急時では、全身の筋肉が酸素を必要としますから、交感神経系の働きにより、気管支が拡張し、息が吸いやすくなるのです。軽く運動したり、筋肉を使ったり、交感神経系を緊張させると、呼吸が楽になるはずです。

6.排泄と自律神経の関係

食事を摂るとトイレが近くなる気がしませんか?食事の時間は最高のリラックスタイム。基本的に緊急時ではありませんので、筋肉への血流は少なくて済みます。逆に今度は消化器系を含む内臓に血流を促します。消化器系が活発になるので、トイレが近くなります。

逆に緊急時では、トイレに行っている場合ではありませんね。

緊張してトイレが我慢できない場合
背側迷走神経【横隔膜下迷走神経】が、交感神経をシャットダウンさせたからと考えられます。

7.汗と自律神経の関係

緊張するような場面だと手汗をかいたりしますが、これは交感神経系の働きによるもの。常に手が湿っているような人は、無意識に身体に力を入れていることがあります。

手や脇の多汗症で、交感神経を焼く手術がありますが、他の部位に汗がうつったケースもあり、交感神経系の緊張を解くことが必要かも知れませんね。

8.スキンシップと自律神経の関係

身体をリラックスさせる副交感神経は、頭とおしり(仙骨)に集中しています。赤ちゃんにおっぱいを与える時、頭とおしりで支えますが、リラックスできるように、人間の身体は作られたのかも知れませんね。

新しい自律神経の考え方 ポリヴェーガル理論

ここまで、従来考えられてきた自律神経の「交感神経」と「副交感神経」の働きを見てきました。

ここで、最近、支持を集めつつある理論を紹介します。それは、まだ耳慣れない「ポリヴェーガル理論」です。「ポリ(複数の)」「ヴェーガル(迷走神経の)」理論、つまり「多重迷走神経理論」という意味です。

ポリヴェーガル理論は、イリノイ大学名誉教授である、ステファン・W・ポージェス博士による新しい自律神経の考え方です。

今までは交感神経と副交感神経の2本柱と考えてきましたが、それを3本柱で考えたのがポリヴェーガル理論で、最近この理論が支持されるようになってきました。実際に、この理論を使って、岡山大学附属病院などでは臨床試験が行われています。

何が今までの考え方と違うのかというと、人間を含む哺乳類は、副交感神経が2種類(腹側迷走神経と背側迷走神経)あると考え、トラウマやストレスなどがどのように心や身体に影響を及ぼすのかというのを効果的に明らかにしたのです。

この理論をもとに考えていくと、自閉症やトラウマ、スピーチ恐怖症、うつなど様々な不定愁訴に対し、具体的な改善方法が見えてきます。

従来の自律神経の考え方 ポリヴェーガル理論
交感神経
副交感神経
交感神経
腹側迷走神経(副交感神経)
背側迷走神経(副交感神経)

ポリヴェーガル理論における3つの自律神経と神経系の状態

ポージェス博士は、自律神経は3つあると考えました。

その3つの自律神経の働きを知ると、あなたの心や身体に起こっている数々の不定愁訴や、なぜ怒りが爆発するのか、なぜいきなり逃げ出すのか、なぜ音がうるさく感じるのか、なぜ人間関係がうまく築けないのかなど、答えが見えてきます。それを知ることは、あなたにとってとても安心材料になるでしょう。

3つの自律神経 神経系が感じた状態 反応  交感神経に対する反応
第一の防衛システム
交感神経系
危険 闘争・逃走 交感神経が活性化
第二の防衛システム
背側迷走神経
(横隔膜下迷走神経系)
生命の危機 死んだふり・シャットダウン・解離 交感神経を急ブレーキ
防衛システムの調整役
腹側迷走神経
(横隔膜上迷走神経系)
安全である 社会交流システムを活性化(人とのつながり) 交感神経をゆっくりブレーキ

ポージェス博士は、自分の置かれている場が、「安全であるか」「危険であるか」「生命の危機か」を(ニューロセプションが)察知し、それに適した神経回路にスイッチを入れると説きました。

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交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役割をします。

この2つの自律神経が、”交互に”働きつつ、互いに「なめらかに」シーソーのような動きをしながら、うまくバランスを取っています。そのバランスを調整しているのが、腹側迷走神経です。

このバランスが取れている状態「安全である」時は、腹側迷走神経が交感神経を抑制しています。この場合は、ゆっくりブレーキをかけています。

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ところが、ストレスが増えてくる「危険な状態」に差し掛かると、交感神経が緊張してきます。

命の危険を感じる様なストレスが強くなりすぎると・・・

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耐えられないくらいにストレスが掛かり、「生命の危険」を感じるようになると、背側迷走神経が交感神経に急ブレーキをかけます。

交感神経がシャットダウンしてしまい、やる気が起きなくなってしまいました。

身体がだるすぎて、動くことが出来ないなど、自分ではどうしようもない状態にまで陥っている場合は、背側迷走神経により、フリーズ(凍り付き反応・不動化)が起きている可能性があるのです。

2つの迷走神経 腹側迷走神経と背側迷走神経

従来の自律神経の考え方は、交感神経と副交感神経だけで考えることが出来ましたが、ポリヴェーガル理論では副交感神経には2種類の働きがあると考えています。

今度は、少し細かく、腹側迷走神経と背側迷走神経を比較してみましょう。

腹側迷走神経 背側迷走神経
横隔膜より上 支配部位 横隔膜より下
心臓・肺・気管 支配臓器 胃や腸などの消化器系・泌尿器・生殖器
目・耳・鼻・口・顎・顔・喉の筋肉
(コミュニケーションに使う)
その他 従来説明されてきた副交感神経であり、消化、排泄、睡眠、生殖に関わる
リラックスしている時は、交感神経にゆっくりブレーキをかける
(脈が落ち着くなど)
特徴1 生命の危機を感じる緊急事態で、交感神経を急ブレーキをかける
(フリーズ、失神など)
哺乳類特有の防衛システム・新しい迷走神経、社会交流と関連
(人との交流、安心感を感じる)
特徴2 爬虫類の防衛システム・古い迷走神経
(絶望感、自己嫌悪、閉じこもり)

心臓は腹側迷走神経のコントロールがなければ、脈拍は常に90以上になってしまいます。リラックスしている時に、心臓がバクバクしないのは、この腹側迷走神経のおかげなのです。原因不明の高血圧も改善させることが出来るかもしれません。

ところが、生命の危機を感じるほどの緊急事態時(例えば、DV、性的虐待、パワハラ、いじめなど)には、今度は、背側迷走神経が交感神経を一気にシャットダウン(急ブレーキ)させることがあります。失神したり、解離したりします。

下手に抵抗したら、逆に殺されてしまう可能性があるのです。あなたの神経系が、生き残るためにシャットダウンすることを選んだのです。

背側迷走神経が交感神経をシャットダウンさせると、このようなことが起こります。

シャットダウン・フリーズ時の反応

 失神・解離
 徐脈
 燃え尽き症候群
 だるくて動けない
 うつ状態
 何もやる気が出ない
 頭が常にボーっとしている
 疲れ切って起き上がれない

背側迷走神経は、進化の過程における、爬虫類の防衛システムと考えられています。

爬虫類は、危険を察知すると、じっとして動かなくなる、死んだふりをします。爬虫類にとって、不動状態が基本的な防衛システムなのです。爬虫類は、数時間息を止めていても、生きていられますが、人間の場合は脳の大きさが爬虫類とは違いますので、死んだふりをするのは、生命の危機に繋がるのです。

緊張が高まりすぎて、背側迷走神経による交感神経のシャットダウンが起こる前に、腹側迷走神経の働きを活性化させて、交感神経を抑制させることが重要になるのです。

安心をもたらす 腹側迷走神経

私たちは、ストレスやトラウマなどで、一旦防衛体制に入ると、危機対応にエネルギーを費やし、クリエイティブになる事も、愛することも出来なくなります。そして、治癒することも出来なくなります。

自分ではどうすることも出来ないような病気や不調を治すには、「安全である」と感じられる場がなければ、治癒に導くことが出来ないのです。要するに、神経系が安心できるかなのです。

ただ、「安全である」ことを感じるには、一人でじっとしていることが良いわけではなく、誰かの助けが必要になります。

我々人間を含む哺乳類は、互いに守りあう必要があるので、社会交流が大切になります。腹側迷走神経には、この社会とのつながりを促す働きがあるのです。

誰かからの社会的な働きかけによって、自分のいる場が「安全である」と感じると、身体は防衛反応に入る必要がなくなり、治癒モードに切り替わります。

人と目を合わせて話をしたり、声のトーンを調整したり、笑顔を作ったり、誰かと食事に行ったり、人とつながることは、ストレスの解消に役立ちますよね。腹側迷走神経が円滑に働いている時は、人とのコミュニケーションも円滑に保てます。

腹側迷走神経が機能していれば、ちょっとストレスが掛かったとしても、誰かと飲みに行って愚痴を聞いてもらったり、家族と食事を楽しんだり、友人とスポーツをしたりなど、人と楽しむ機会も増え、ストレス解消しやすくなるのです。

ところが、腹側迷走神経がうまく働いていない場合、会話が楽しくない、食事に誘われたけど乗り気がしない、何でも斜に構えるなど、社会とのつながりがオフになってしまいます。

「何か話さなくちゃ」という場面でも、頭が真っ白になる、言葉がなかなか出てこない、表情がこわばる、声がうわずるなど、身体が上手く働かなくなった経験はありませんか?

腹側迷走神経は、脳幹の領域で調整されています。脳幹の領域は、話を聞いたり、声を出して意思を伝えたり、表情を作って感情を表現したり、目や耳、顔、喉なども制御しているのです。

つまり、腹側迷走神経がオフになっている状態は、脳幹がうまく機能していない状態と考えられるので、上手に人とのコミュニケーションが取れなくなるのです。

決して、性格が悪いとか、コミュニケーション能力が劣っているわけではないのです。そう考えると、少し安心できませんか?

自分のストレス耐性を調べよう ~耐性の窓~

「耐性の窓(The Window of Tolerance)」とは、ストレスの許容範囲の考え方で、ダニエル・J・シーゲル博士によって命名されました。

耐性の窓(Thw Window of Tolerance)
この耐性の窓の範囲が広ければ広いほど、ストレスがあっても、安定していられます。このどの範囲で神経が波打っているかで、ストレスの許容度がわかります。

ここでは4つのタイプに分け、説明します。

※下のグラフは、藤本昌樹さんの「心の傷を消す音楽CDブック」から引用し、改変しました。

安定型

1.安定タイプ

困ったことがあれば、誰かに相談できる。友人関係や親とも関係が良好。ストレス耐性が高く、自分でストレスをコントロールできる。腹側迷走神経が交感神経を適切に抑制できる状態。

2.自信喪失・怒りタイプ

ストレスが掛かると、怒り爆発!友人がいても安心したり、リラックスしたりできない。色んな事に自信がない。自分が干渉されない人と付き合いやすい。自分がダメ人間と悩み、気分変動が大きい。交感神経が緊張している状態。

3.無気力・うつタイプ

ストレスが掛かると、落ち込む。仕事や勉強に没頭。気分が落ち込み、うつ状態になることも。原因不明の身体症状(発熱や腹痛)が多いこともあった。どちらかといえば、一人の方が気楽。背側迷走神経が交感神経を過度に抑制した状態。

4.恐怖・自傷タイプ

心にいつも不安や恐怖を抱え、フリーズ・解離経験をしたり、自傷行為をしたり。安心感を感じたことがあまりない。殴り合いのけんかをしたかと思えば、いきなり自殺したくなったりする。酒や薬、セックスに逃げたりした。常に頭が混とんとしている。腹側迷走神経を活性化させたい状態。

中耳の筋肉を緊張させると安心できる理由

ポージェス博士は、トラウマや自閉症、抑うつや統合失調の人たちのもつ、聴覚過敏という共通点に目を付けました。人が多い場所を嫌がったり、騒々しい音が苦手に感じます。耳をふさいだりするクセを見たことあるかも知れませんね。

聴覚過敏の人の中耳の筋肉は弛緩しています。大きく低い音をよく拾うようになります。すると、周囲の雑音に人間の高い声が聞き取りづらくなります。すると仲間の声が聞き取りづらくなります。

捕食動物の声は、「ガオー!!」とか、低い鳴き声ですよね。総じて低周波音です。神経系はこの低周波音を危機が迫っていると解釈する傾向があるのです。これは進化の過程で、「捕食動物=低周波音」という神経回路が作られてしまったからです。

こういった人たちへの治療に、心理面からのアプローチではなく、身体に起きている症状からアプローチしました。それが耳からのアプローチだったのです。

中耳の筋肉が緊張できるようになれば、より高い周波数の声が中耳を通過し、聴覚神経から脳に届くようになります。ほとんどの低周波数の音は鼓膜で遮断されます。そうすると、神経系が安心できるようになるのです。

神経回路が一旦「安全である」と感じたら、社会交流システムが機能し始めます。つまり、腹側迷走神経が目覚め始めます。良い体験が出来るようになると、その体験を重ねることで、社会交流システムを継続的に使っていくことが出来るようになります。

社会的な交流の場に置いて、中耳の筋肉の緊張はメリットがあるのです。

自律神経を調整するセルフケア

自律神経の乱れを調整するには、腹側迷走神経の活性化がとても大切ということがわかりました。そして、その腹側迷走神経を活性化させるには、中耳筋(耳小骨筋:鼓膜張筋やアブミ骨筋)を緊張させることもわかりました。

では、ここからは自律神経を整えるために、自分で出来るケアをお教えします。

1. 歌を歌う・長い息を吐く

歌を歌うと腹側迷走神経は活性化できる。

歌を歌うことは、自律神経への最高のエクササイズです。ただ、本当に気分が落ちている人には、少し辛いもの。

気分が落ちている人は、「うーいーうーいー」と口を動かし、顔を動かしたり、深呼吸で長く息を吐くことをしましょう。

歌うことのメリット1
呼吸を調整できます。歌うには長く息を吐く必要があり、息を吐いている間は、腹側迷走神経の心臓への働きかけが強まります。歌うことや吹奏楽器を演奏することで、生理学的状態穏やかになり、社会交流システムが活性化します。
歌うことのメリット2
歌う時には、聴いています。中耳筋の神経の緊張をもたらし、喉頭咽頭筋、口と顔の筋肉も使っています。つまり、腹側迷走神経を整える効果があります。顔の筋肉が動けば、それだけでも中耳の筋肉を緊張させますね。
特にグループで歌うことは、社会交流システムの「神経エクササイズ」にもなります。

2. 音楽を聴く

ベースやドラムが激しいものではなく、ヒーリング音楽がオススメ。ヘッドホンで小さな音で聞きましょう。

特に左右に音が揺らぐような音楽ですと、右脳と左脳のバランスを調整できますので、特におススメです。

3. 背伸びをする、姿勢を良くする

姿勢を変えるだけで、物事に対する意欲が全く変わってきます。

背骨のすぐ脇には、交感神経節があります。背骨が歪むと、交感神経が緊張し、ストレスを感じやすくなるのです。

4. 自然の中を歩く

森の中を歩いたりするのは、ヒーリング効果が高いです。

鳥の声や虫の音色、川のせせらぎなど、どこから聞こえるのか、耳を澄ませてみましょう。遠くからかも知れませんし、近くからかも知れません。

中耳筋を鍛えることにもなりますし、音との距離を感じることで、空間認知のトレーニングにもなります。自分がこの空間の中で安心感を感じることが出来るようになります。

まとめ

● 自律神経の新しい考え方「ポリヴェーガル理論」では、自律神経には3つの働きがあると考えた。
● 自分の神経系が、「安全」「危険」「生命の危機」であるかを察知し、それに適した自律神経パターンを働かせる。
● 腹側迷走神経が活性化すると、穏やかな自分でいられ、人との交流もはかどるようになる。社会の中の自分を取り戻すことが出来る。
● 中耳の筋を緊張させることが、「安心感」をもたらす腹側迷走神経を活性化させる。

施術の一例

※施術の効果には個人差があります。

クラニオ・セイクラル・セラピー(頭蓋仙骨療法)
自律神経の興奮を抑える効果があります。
前頭葉への施術・エネルギー治療
精神面のストレスを和らげる効果があります。脳の間違った条件反射を解除すると、こわばった身体が緩んできます。
中耳筋へのアプローチ
中耳筋を直接緊張させる施術を行います。
院長
院長

当院では、ポリヴェーガル理論を元に、自律神経に対するアプローチをしております。リスニングによるアプローチはありませんが、空間認知であったり(その人がどのポジションで安心感を感じるか)、顔へのアプローチであったり(中耳筋へのアプローチ)、脳の間違った条件反射を改善して、自律神経の改善に取り組んでおります。

施術に興味がありましたら、お問い合わせ下さい。長文を読んで下さり、ありがとうございました。

参考 自律神経の乱れを改善された皆さんの感想はこちら

自律神経の症状の感想・口コミ
なおたろう皆さん、施術の感想ありがとうございます♪まずは、ピックアップした感想からどうぞ!腰周りや背中が痛い、気持ち悪い、気力がないなど、今ではすっき【続きを読む】